午後、工場入口のところを掃除していたら、ちっこい男の子が工場の中をじっと見ていました。その男の子はお母さんの自転車のハンドルのところに取り付けられたちっこいイスにちょこんと座っていました。
「何見てるの?」
「工場見てんの。」
「ふーん、面白い?」
「うん、面白い。」
「何が面白いの?」
「ぺっしゃんこになった車とか、面白い。」
って、私は男の子に聞いてるのに、答えるのはお母さんばっかり。男の子はお母さんの前にちょこんと座ってずっとニコニコ笑ってました。
「面白いから毎日見に来てるんです。」
って、男の子よりお母さんのほうが楽しんでんじゃないの。
以前にも小学生の男の子がやっぱり工場入口のところに立ってじっと中を見ていることがありました。話しかけるとうなずくだけであまり話しません。警戒しているのか、恥ずかしがっているのか。でもスクッラップ処理工場が面白かったみたいです。彼も何度か見に来ているようです。「今は忙しいし危ないからダメだけど、土曜日の昼休みに来たら中を案内してあげるよ。」って言ったんですが、まだその少年は来ていません。
確かに、スクラップ処理工場は面白い。大きな機械があって、大きなクレーンがあって、大きなトラックが出入りして、ちょこまかとフォークリフトが工場内を走っている。ぺしゃんこの車だけでなく、なんだかいろんなものがおいてある。面白いなあ。
今はまだ無理だけれど、近い将来、ちっこい子でも小学生でもお母さんでも安全に中を見学できるような工場にしたいと思います。